Books(社会)

▼『烈士と呼ばれる男』中村彰彦

「ここまできて三島がなにもやらなかったら,おれが三島を殺る」三島由紀夫と死を共にした青年・森田必勝は,いかにしてその胸底に死を育て,また三島はなぜ彼を受け入れたのか.異様な生彩を放つ短い生涯を史伝文芸の味わい豊かに描きつつ,遺族,友人など…

▼『赤狩り時代の米国大学』黒川修司

一九九〇年,ミシガン大学の米国大学教授連合支部の機関誌に,赤狩りの犠牲者三名の名誉回復の記事が出た.これがきっかけで著者は,米国が今も後ろめたく感じているマッカーシーイズムの時代に,米国の教官,大学,そして団体が学問の自由にいかに対応した…

▼『黒い看護婦』森功

悪女(ワル)―同じ看護学校を出た看護婦仲間.一見,平凡な中年女性たちは,身近な人々を次々に脅し,騙し,そして医療知識を駆使した殺人にまで手を染めていた.何が,女たちをかくも冷酷な犯罪へと走らせたのか.事件の背後には,四人組の特殊な人間関係,な…

▼『裏のハローワーク』草下シンヤ

オモテがあれば,ウラもある.スーツを着て,定時に出社して,興味の持てない仕事をして食べていくのもひとつの生き方.しかし世の中には,そうでない仕事も多数存在する.マグロ漁船から,大麻栽培,治験バイト,夜逃げ屋,偽造クリエイターまで,世の中の…

▼『大仏破壊』高木徹

それは,9.11のプレリュード(前奏曲)だった.9.11同時多発テロの前に,タリバンが支配するアフガニスタンにおいて大仏遺跡の破壊が行なわれた.その背後には,ビンラディンとアルカイダの周到な計画があった.バーミアンの大仏破壊に秘められた衝撃の真相と…

▼『マルクス・エンゲルス小伝』大内兵衛

「マルクスは古くなったのか」.豊かな知見にもとづいて2人の生涯を描き,代表的な原典の読み方をていねいに教えながら思想の本質を説明する.1960年代,若い人に向けて語りかけたマルクス主義への入門書――. 大月書店の国民文庫,青木書店の青木文庫,岩波…

▼『左遷論』楠木新

左遷という言葉は「低い役職・地位に落とすこと」の意味で広く用いられる.当人にとって不本意で,理不尽と思える人事も,組織の論理からすれば筋が通っている場合は少なくない.人は誰しも自分を高めに評価し,客観視は難しいという側面もある.本書では左…

▼『完訳 マルコムX自伝』マルコムX

スラムの中で麻薬を常用,強盗にまで堕したマルコムは,刑務所で自己の価値に目ざめ,黒人イスラム教団の最も戦闘的で説得力のあるリーダーとなる.非宗派的な黒人解放組織を設立し,新しい活動を深めるなかでの暗殺.なぜ黒人は人間であることを否認される…

▼『完全なるチェス』フランク・ブレイディー

二十年にもわたって姿を消していたチェス世界チャンピオンは往年のライバルと対戦すると,ふたたび消息を絶った.クイーンを捨て駒とする大胆華麗な「世紀の一局」を十三歳で達成.冷戦下,国家の威信をかけてソ連を破り,世界の頂点へ.激しい奇行,表舞台…

▼『徐兄弟 獄中からの手紙』徐京植編訳

日本に生まれ育った二人の韓国人が,一九七一年,祖国留学中に突然「北のスパイ」として逮捕された.弟の徐俊植氏は八八年,兄の徐勝氏は九○年にようやく釈放されたが,彼らの獄中の日々を支えたものは何か.京都の母や妹あて書簡を末弟の眼で編んだ本書は,…

▼『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』アル・アレツハウザー

とかく不透明と言われる日本の証券界に君臨し,市場支配する巨大企業・ノムラ.野村はいかにして世界のノムラとなりえたのか.いったいこれから何をめざしているのか.自らも証券マンである著者が,膨大な資料と数百人に及ぶ関係者の証言に基づき,ノムラの…

▼『白昼の死角』高木彬光

明晰な頭脳にものをいわせ,巧みに法の網の目をくぐる.ありとあらゆる手口で完全犯罪を繰り返す“天才的知能犯”鶴岡七郎.最後まで警察の追及をかわしきった“神の如き”犯罪者の視点から,その悪行の数々を冷徹に描く.日本の推理文壇において,ひと際,異彩…

▼『ビヒモス』トマス・ホッブズ

『リヴァイアサン』で知られるホッブズ(一五八八‐一六七九)の政治論はいかに構築されたか.その基盤となる歴史観を示す,著者晩年の代表作.世代の異なる二人の対話形式で一六四〇‐五〇年代のイングランド内戦の経緯をたどり,主権解体と無秩序を分析する――.…

▼『私は魔境に生きた』島田覚夫

昭和十九年六月,孤立無援の東部ニューギニアで味方部隊の再来を信じて篭城した日本軍兵士十七名.熱帯雨林の下,飢餓と悪疫,そして掃討戦を克服して生き残った四人の男たちのサバイバル生活を克明に描いた体験記.敗戦を知らず,十年間の“生存”に挑んだ逞…

▼『そして殺人者は野に放たれる』日垣隆

「心神喪失」の名の下で,あの殺人者が戻ってくる!「テレビがうるさい」と二世帯五人を惨殺した学生や,お受験苦から我が子三人を絞殺した母親が,罪に問われない異常な日本."人権"を唱えて精神障害者の犯罪報道をタブー視するメディア,その傍らで放置され…

▼『経済学は悲しみを分かち合うために』神野直彦

「お金で買えないものこそ大切にしなさい」.幼き頃の母の教えに導かれ,やがて青年は経済学の道を歩みはじめる‥‥新自由主義に抗い,人間のための経済を提唱する著者の思想はどのようにして育まれてきたのか.自らの人生,宇沢弘文氏ら偉大な師や友人らとの…

▼『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』木村元彦

1999年のNATO軍の空爆により,コソボ紛争は公式には「終結」したことになっている.しかし現地では,セルビア系の民間人が三〇〇〇人規模で行方不明になるなど,空爆前とは違った形で「民族浄化」が続き,住民たちは想像を絶する人権侵害の危機にさらされて…

▼『裁かれた命』堀川惠子

一九六六年(昭和四一年),東京・国分寺市で一人の主婦が被害者となった強盗殺人事件が発生した.四日後に逮捕された二二歳の犯人・長谷川武は,裁判でさしたる弁明もせず,半年後に死刑判決をうけ,五年後には刑が執行された.その長谷川死刑囚が,独房から…

▼『情と理』後藤田正晴

中曽根内閣の官房長官で辣腕を振るい,歴代の政権にも隠然たる影響力を持った男・後藤田正晴.混乱する政局を舌鋒鋭く斬り,"カミソリ"の異名を取った彼の直言は,各界から幅広い支持を得てきた.そんな著者が自らの波瀾の人生を振り返った,貴重な戦後政官…

▼『ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争』デイヴィッド・ハルバースタム

1950年,北朝鮮軍の南進により勃発した朝鮮戦争.反共の名の下に,参戦を決定したアメリカだったが,それは過酷極まりない戦争への突入だった.スターリン,金日成,トルーマン,マッカーサー,毛沢東‥‥時の指導者たちが抱いた野望と誤算,彼らに翻弄され凍…

▼『シビル・アクション』ジョナサン・ハー

1960年代後半,ボストン近郊の町ウォーバーンでは急性リンパ性白血病に倒れる子供が相次いだ.地区の8家族は水源の汚染が原因であるとし,産業廃棄物を捨てた疑いが濃厚な企業2社を相手に民事訴訟に踏み切った.住民側の弁護士ジャン・シュリクトマンは,経…

▼『給食の歴史』藤原辰史

小中学校で毎日のように口にしてきた給食.楽しかったという人も,苦痛の時間だったという人もいるはず.子どもの味覚に対する権力行使の側面と,未来へ命をつなぎ新しい教育を模索する側面.給食は,明暗二面が交錯する「舞台」である.貧困,災害,運動,…

▼『裁判官も人である』岩瀬達哉

原発再稼働の可否を決め,死刑宣告をし,「一票の格差」について判断を下す―裁判官は,普通の人には想像できないほどの重責を負う.その重圧に苦悩する裁判官もいれば,個人的な出世や組織の防衛を優先する裁判官もいる.絶大な権力を持つ「特別なエリート」…

▼『「市民社会」とは何か』マイケル・エドワーズ

現代政治において,今もっとも重要な概念のひとつであり,存在意義を高めつつある市民社会を理念と実践の両側面から縦横に論じた待望の書――. 論者や識者によって好んで使われる概念でありながら,確たる定義も持ち合わせていない言葉が跋扈するのは,考えて…

▼『知事抹殺』佐藤栄佐久

東京一極集中に異議を唱え,原発問題,道州制などに関して政府の方針と真っ向から対立,「闘う知事」として名を馳せ,県内で圧倒的支持を得た.第五期一八年目の二〇〇六年九月,県発注のダム工事をめぐる汚職事件で追及を受け,知事辞職,その後逮捕される…

▼『自動車絶望工場』鎌田慧

働く喜びって,なんだろう.毎日,絶望的に続くベルトコンベア作業の苛酷さ.現代の矛盾の集中的表現としての自動車は,労働の無内容さと人間の解体を満載し,排気ガス,石油資源などの諸問題を前にして,いま大転換を迫られている.自ら季節工として働いた…

▼『沖縄密約』西山太吉

日米の思惑が交錯した沖縄返還には様々な「密約」が存在したことが,近年相次いで公開された米公文書や交渉当事者の証言で明らかになってきた.核の持込み,日本側の巨額負担….かつてその一角を暴きながら「機密漏洩」に問われた著者が,豊富な資料を基に「…

▼『永山則夫』堀川惠子

日本社会を震撼させた連続射殺事件の犯人,永山則夫.生前,彼がすべてを語り尽くした膨大な録音テープの存在が明らかになった.一〇〇時間を超える独白から浮かび上がる,犯罪へと向かう心の軌跡.これまで「貧困が生み出した悲劇」といわれてきた事件の,…

▼『成長の経済学』ポール・バラン

第一章 概説 第二章 経済余剰の概念 第三章 独占資本主義下の静止と運動 I 第四章 独占資本主義下の静止と運動 II 第五章 後進性の根本原因について 第六章 後進性の形態学序説 I 第七章 後進性の形態学序説 II 第八章 険阻な上り坂――. ウクライナ出身,フ…

▼『子供たちは森に消えた』ロバート・カレン

ソ連邦崩壊をひかえた1982年,ロシア南部の森のなかで,凌辱の跡もあらわな少女の惨死体が発見された…それがすべての始まりだった.森に誘いこまれ殺される子供が続出し,事件を担当するブラコフ捜査官は,精神科医の協力を得て恐るべき連続殺人犯を追う.そ…