Books(自然・科学)

▼『樹木たちの知られざる生活』ペーター・ヴォールレーベン

春から初夏には,新緑に心を洗われ,秋には紅葉に目を奪われる.そして色鮮やかな花に癒され,新鮮な空気を与えてもらう.わたしたちは,樹木とともにあり,さまざまな恩恵を受けている.樹木は身近で尊い友人なのだ.しかし,どれだけ彼らのことを知ってい…

▼『生物と無生物のあいだ』福岡伸一

生命とは,実は流れゆく分子の淀みにすぎない!?「生命とは何か」という生命科学最大の問いに,いま分子生物学はどう答えるのか.歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら,現在形の生命観を探る.ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステ…

▼『「科学者の楽園」をつくった男』宮田親平

大河内正敏所長の型破りな采配のもと,鈴木梅太郎,仁科芳雄,湯川秀樹,朝永振一郎,寺田寅彦,武見太郎ら傑出した才能が集い,「科学者の自由な楽園」と呼ばれた理化学研究所.科学史上燦然たる成果を残した理研の草創から敗戦まで,その栄光と苦難の道の…

▼『月の魔力』アーノルド・L.リーバー

満月の日は殺人・交通事故が激増する!?マイアミの精神科医である著者は,その噂に興味をもち,研究を続けていくうちに,次々と新事実に遭遇し,ついに月と人間の行動・感情には明らかな関連があることをつきとめた‥‥月はその引力により,満潮・干潮を引き起…

▼『コスモス』カール・セーガン

天文学,惑星科学への夢を語り,今日の宇宙科学ブームのさきがけとなったベストセラーの復刊.セーガン博士が初期から取り組み続けた太陽系惑星の探求がつづられる.探査衛星などから送られる観測データをもとにした,金星,火星,木星,土星といった惑星の…

▼『サイバネティックス』ノーバート・ウィーナー

心の働きから生命や社会までをダイナミックな制御システムとして捉えようとした先駆的な書.本書の書名そのものが新しい学問領域を創成し,自然科学分野のみならず,社会科学の分野にも多大な影響を与えた.現在でも,人工知能や認知科学,カオスや自己組織…

▼『アースワークス』ライアル・ワトソン

『生命潮流』『スーパーネイチャー1・2』などのロングセラーをもつ,ライフサイエンティスト・ワトソンの待望の文庫化.本書は,過去長篇の論考を主としていたワトソンの,いわば初めての"短篇集"であり,地球とその上に住む生命体がもつ不可思議さへの,さま…

▼『いかにして問題をとくか』ジョージ・ポリア

未知の問題に出会った場合どのように考えたらよいか,問題を解くすじみちを,数学者として著名なポリア教授が,やさしい数学を例にとって興味深く説明.新しい創造力に富んだ発想法,考え方を本書はあざやかに示す――. 生きている限り,意識的であれ,無意識…

▼『偉大な記憶力の物語』A.R.ルリヤ

人並みはずれた鮮明な直観像と,特有の共感覚をもつその男は,忘却を知らなかった.電話番号を舌で感じ,コトバの音から対象の意味を理解する.想像によって手の温度を変える.直観像を利用して課題を鮮やかに解決する一方で,抽象的な文や詩の理解はひどく…

▼『悪の遺伝子』バーバラ・オークレイ

「二重らせん」は邪悪な運命を内包する.よこしまで不誠実でうつり気.しかし奇妙な魅力で人を惹きつけた美しい実姉の変死後,著者はその遺品箱から日記と手紙の束を見つけ,たちのぼる霊気に誘われるがごとく,ある探求を始める.そしてやがて姿を立ち現し…

▼『五人のカルテ』マイクル・クライトン

原因不明の高熱,骨折,火傷,心臓停止,激しい胸の痛み.マサチューセッツ総合病院の救急治療室には,さまざまな患者が昼夜を問わず運ばれてくる.ここに医学生として勤務した体験をもとに,超ベストセラー作家が刻々と変化していく医療現場の実態をリアル…

▼『生物から見た世界』ヤーコプ・フォン・ユクスキュル,ゲオルグ・クリサート

甲虫の羽音とチョウの舞う,花咲く野原へ出かけよう.生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす"環世界"の多様さ.この本は動物の感覚から知覚へ,行動への作用を探り,生き物の世界像を知る旅にいざなう.行動は刺激に対する物理反応ではなく,環世界あって…

▼『科学者の不正行為』山崎茂明

研究者の世界はPublish or perish.ではなく,Publish and perish.という言葉で表現されるような,危機的状況に陥りつつある.そこでは,科学者は業績を上げることにこだわるばかりに,様々な事件を引き起こしている.本書では,「研究発表を中心とした科学者…

▼『フォン・ノイマンの哲学』高橋昌一郎

21世紀の現代の善と悪の原点こそ,フォン・ノイマンである.彼の破天荒な生涯と哲学を知れば,今の便利な生活やAIの源流がよくわかる!「科学的に可能だとわかっていることは,やり遂げなければならない.それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」.彼は,理…

▼『自我の起源』真木悠介

本書は,比較社会学の視座から現代社会を考察してきた著者が,生命史における「個体」発生とその主体化の画期的意義を明らかにする.遺伝子理論・動物行動学・動物社会学の成果に向き合いつつ,動物個体の行動の秘密を探り,「自我」成立の前提を鮮やかに解…

▼『星界の報告』ガリレオ・ガリレイ

1610年冬,ガリレオは30倍に拡大された星界に初めて対面する.まず月面に,そしてこれまで未知であった木星の周囲を回転する四つの惑星の運動の観測へと筒眼鏡は向けられる.精緻な観察が卓抜な想像力と結びつき,世界をゆるがせた推論は仮借なく押しすすめ…

▼『栽培植物と農耕の起源』中尾佐助

野生時代のものとは全く違った存在となってしまった今日のムギやイネは,私たちの祖先の手で何千年もかかって改良に改良を重ねられてきた.イネをはじめ,ムギ,イモ,バナナ,雑穀,マメ,茶など人間生活と切り離すことのできない栽培植物の起源を追求して…

▼『働かないアリに意義がある』長谷川英祐

7割は休んでいて,1割は一生働かない.巣から追い出されるハチ,敵前逃亡する兵隊アリなど「ダメな虫」がもたらす意外な効果.身につまされる最新生物学――. アリやハチなどの社会性昆虫(真社会性生物)は,人間社会と共通する軋轢や規律をもって動き,コロ…

▼『物理学と神』池内了

「神はサイコロ遊びをしない」と,かつてアインシュタインは述べた.それに対し,量子論の創始者ハイゼンベルグは,サイコロ遊びが好きな神を受け入れればよいと反論した.もともと近代科学は,自然を研究することを,神の意図を理解し,神の存在証明をする…

▼『プリンストン高等研究所物語』ジョン・L・カスティ

アインシュタイン,ゲーデル,オッペンハイマー…超一流の知性だけが招聘される研究者の理想郷プリンストン高等研究所.その静かな学究的雰囲気が,フォン・ノイマンによるコンピュータ開発の画期的プロジェクトをめぐって沸騰する.未知なる観念と構想に関わ…

▼『四色問題』ロビン・ウィルソン

四色あればどんな地図でも塗り分けられるか?一見簡単そうだが,どうにも証明できない難問として人々の頭を悩ませ続けた「四色問題」.ルイス・キャロルをはじめ幾多の人物が挑戦しながら失敗.一世紀半後,ふたりの数学者がコンピュータを駆使して解決するが…

▼『医学の歴史』梶田昭

人類の歩みは絶えざる病との格闘であった.患者への温かい眼差しをもって治療に当たり,医療・医学の根源からの探究を志した病理学者が,人間の叡智を傾けた病気克服の道筋とそのドラマを追う.興味深い挿話,盛り沢山の引例,縦横に飛ぶ話柄.該博な知識と…

▼『いのちの始まりと終わりに』柳澤桂子

医療と科学の進歩が,生と死のあり方を根底から変えてしまった今日,いのちをつなぐという人の自然な関係が揺らいでいる.生命をめぐる環境の変化を見すえる生命科学者が,生と死の倫理を問い,いのち本来のあり方を考える――. 傑出した才知と識見をもちなが…

▼『紫の火花』岡潔

自らの「情緒」を「長夜の一閃光」と呼ぶ…世界的数学者にして,同時に独自の哲学を込めた随筆を執筆,今なお熱心な読者を持つ岡潔.「情緒」「独創」「教育」と一貫して知性のあり方を考え続けた,著者の思想の真髄を伝える名著を56年ぶりに復刻する――. 論…

▼『科学者と世界平和』アルバート・アインシュタイン

世界政府は人類の理想か,あるいは帝国主義の一つのかたちか.米国に亡命したばかりのアインシュタインと旧ソ連の科学者たちの対話「科学者と世界平和」.時空の基本概念から相対性理論の着想,量子力学への疑念,そして統一場理論への構想までを丁寧に,か…

▼『放浪の天才数学者エルデシュ』ポール・ホフマン

鞄一つで世界中を放浪しながら1日19時間,数学の問題に没頭した天才数学者エルデシュ.83歳で死ぬまでに発表した論文は1500,有史以来どんな数学者よりもたくさんの問題を解き,しかもどれもが重要なものであったという.アインシュタインを感服させ,奇才ゲ…

▼『動物の第六感』モーリス・バートン

カール・フォン・フリッシュ,グリフィン,ガランボスらの発見や研究を紹介して,コウモリによる超音波の利用,ある種の魚による電気感覚の利用など,動物たちの“超能力”の世界にいざなう.その驚きにみちた多様性は,われわれ人間の“五感”によって限定され…

▼『フィールズ賞で見る現代数学』マイケル・モナスティルスキー

フィールズ賞は「数学のノーベル賞」とも称されるほど,数学界において権威のある賞である.本書は第一回(1936年)受賞者のアールフォルスとダグラスから,「ポアンカレ予想」を解いて2006年に受賞したペレルマンまで,主要な受賞者たちの業績を紹介.賞の提…

▼『数学流生き方の再発見』秋山仁

大学入試の数学に自信のない受験生やその父母の中には,数学の才能は特別で,これは遺伝によるものと諦めている人が多い.ところが,そうではない,数学的な能力は日常生活をキチンと送れる能力と大差はないのだと著者は力説する.そのため,映画の主人公「…

▼『系外惑星と太陽系』井田茂

天文学の革命的な進展により,いまや太陽系外に数千個もの惑星が発見されている.想像を超えた異形の星たち.ホット・ジュピター,エキセントリック・ジュピター,スーパーアース.その姿は,太陽系とは何か,地球とは何かという根本的な問いへとわれわれを…