Books(社会)

▼『共産主義の系譜』猪木正道

全体主義に抗す自由主義の論客として知られ,高坂正堯ら錚々たる学者を門下から輩出した政治学者,猪木正道.氏が,マルクス,レーニン,スターリンからチトー,毛沢東に至るまで,共産主義の思想と運動の歴史を一貫した視点で平易に読み解き,画期的な批判…

▼『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史

なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか.なんのために?それで作品を味わったといえるのか?著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は,やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる.一体何がそうした視…

▼『NHK受信料の研究』有馬哲夫

「NHKの公共性,客観性を保つために受信料は必要だ」‥‥日本人の多くはこんなプロパガンダを信じ込まされている.しかし,世界を見れば広告収入で運営されている公共放送は数多い.実は,戦後の受信料とは,GHQの意向に反して,吉田茂総理と通信官僚らがNHK支…

▼『社会への投資』三浦まり〔編〕

〈社会への投資〉とは,個人への投資に加えて,人びとのあいだの信頼・協調関係への投資を行うことである.人びとが安心し,信頼しあって暮らしていける社会をつくるための新たな「社会的投資」のあり方を,諸外国との比較を通じて提言する――. 人的資本の蓄…

▼『牟田口廉也とインパール作戦』関口高史

約三万人の死者を出した,悪名高い「インパール作戦」.この負け戦を指揮した陸軍中将・牟田口廉也はそれまで,日本陸軍を代表する「常勝将軍」と呼ばれていた‥‥作戦はどのような経緯を経て実行され,なぜ失敗に至ったのか?数々の思惑がぶつかり合ったイン…

▼『空白の天気図』柳田邦男

昭和20年9月17日.敗戦直後に日本を襲った枕崎台風は,死者不明者3000人超の被害をもたらしたが,そのうち2000人強は広島県だった‥‥なぜ,広島で被害が膨らんだのか.原爆によって通信も組織も壊滅した状況下,自らも放射線障害に苦しみながら,観測と調査…

▼『ブラジャーで天下をとった男』北康利

世界有数の女性下着メーカーとして知られるワコールの創業者,塚本幸一.彼は太平洋戦争の激戦の中でもとりわけ悲惨なものとして知られるインパール作戦の生き残りであり,失った戦友たちへの思いを胸に,再びビジネスという名の戦場へと向かっていく.ベン…

▼『弱者の居場所がない社会』阿部彩

これらの「小さな社会」は,人が他者とつながり,お互いの存在価値を認め,そこにいるのが当然であると認められた場所である.これが「包摂されること」であり,社会に包摂されることは,衣食住やその他もろもろの生活水準の保障のためだけに大切なのではな…

▼『復讐と法律』穂積陳重

他人から害を受ければ復讐の感情がおきるのも当然であろう.しかし讐には讐で報いたならば,人は死傷し,一家は崩壊,部族もまた亡びるやもしれぬ.この危険を避けるために,どのように私的制裁から公的制裁へと移行したかを,ローマ法・周礼はもとより古事…

▼『ブラック企業』今野晴貴

違法な労働条件で若者を働かせ,人格が崩壊するまで使いつぶす「ブラック企業」.もはや正社員めざしてシューカツを勝ち抜いても油断はできない.若者の鬱病,医療費や生活保護の増大,少子化,消費者の安全崩壊,教育・介護サービスの低下.「日本劣化」の…

▼『社会主義前夜』中嶋洋平

サン=シモン,オーウェン,フーリエ.この三人の名を聞けば,多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう.だが,彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし,地に足のつかない夢想家でもない.現在から見れば,彼らは社会企…

▼『国家はなぜ衰退するのか』ダロン・アセモグル,ジェイムズ・A・ロビンソン

繁栄を極めたローマ帝国はなぜ滅びたのか?産業革命がイングランドからはじまった理由とは?共産主義が行き詰まりソ連が崩壊したのはなぜか?韓国と北朝鮮の命運はいつから分かれたのか?近年各国で頻発する民衆デモの背景にあるものとは?なぜ世界には豊か…

▼『鉄道と国家』小牟田哲彦

明治期の敷設以来,鉄道は日本近現代の政治,社会を映す鑑として,その変遷を見ることが可能である.ときに「我田引鉄」とも揶揄されるように,政治家が自らの選挙区に利益を誘導するがごとく鉄道を誘致する事例が明治,大正,昭和と途絶えることはなかった…

▼『テキスト国際会計基準 新訂第2版』桜井久勝〔編〕

本書が解説する国際財務報告基準(IFRS)は,経済のグローバル化が進む中,その重要性も高まってきており,日本の会計基準にも大きな影響を与えている.本版では,旧版刊行後のIFRSの新設改廃へ対応するとともに,日本の会計基準の新設改廃への対応を行い,2つ…

▼『スクリーンに息づく愛しき人びと』熊沢誠

2010年代以降の80本以上の劇場公開作品を,戦争と分断,日本の権力者の戦争責任,原発,「赤狩り」と戦後アメリカ映画の軌跡,「山田洋次が見失ったもの」,『万引き家族』の衝撃,老親介護,子どもの受難,労働運動の衰退と再生などをテーマに論じる.労働…

▼『病魔という悪の物語』金森修

料理人として働いていた彼女は,腸チフスの無症候性キャリアとして,本人に自覚のないまま雇い主の家族ら50人近くに病を伝染させた‥‥20世紀初め,毒を撤き散らす悪女として「毒婦」「無垢の殺人者」として恐れられた一人の女性の数奇な生涯に迫る.エイズ,…

▼『物価とは何か』渡辺努

あのバブル絶頂時,そしてその崩壊,いずれのときも意外なほどに物価は動かなかった.それはなぜか?お菓子がどんどん小さくなっている……なぜ企業は値上げを避けるのか?インフレもデフレも気分次第!?物価は「作る」ものだった?経済というものの核心に迫…

▼『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』ナンシー・フレイザー

なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか.それは,資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである.資本主義そのものが問題である以上,「グリーン資本主義」や,表面的な格差是正などは目くらましにすぎ…

▼『史上最悪のインフルエンザ』アルフレッド・W・クロスビー

少なく見積もっても2,500万人以上の死者を出したといわれる,1918-1919年のインフルエンザ(通称「スペインかぜ」).本書は社会・政治・医学史にまたがるこの史上最大規模の疫禍の全貌を明らかにした感染症学・疫病史研究の必読書.この新装版には訳者による…

▼"Marina and Lee" Priscilla Johnson McMillan

The inside story of Lee Harvey Oswald's path to killing John. F. Kennedy. Reissued to mark the 50th anniversary of the Kennedy assassination,Marina and Lee is an indispensable account of one of America's most traumatic events, and a classi…

▼"Belarus" Andrew Wilson

Protests continue in Belarus in the aftermath of 2020's fraught presidential election. In this updated edition of his exploration of Belarus's complicated road to nationhood since it gained independence in 1991, Andrew Wilson has added two…

▼"Earth Building" Laurence Keefe

Buildings with load-bearing earth walls were once widespread throughout Britain and many thousands still survive, including some dating from the fourteenth and fifteenth centuries. Earth is the ultimate form of 'green' building constructio…

▼"Profit over Privacy" Matthew Crain

The contemporary internet's de facto business model is one of surveillance. Browser cookies follow us around the web, Amazon targets us with eerily prescient ads, Facebook and Google read our messages and analyze our patterns, and apps rec…

▼『イスラム報道』エドワード・W・サイード

イスラム圏についての西欧文化圏における報道は,政府や,利害のからむ企業の思惑と学者や専門家の知が結びついて様々なゆがみを生み続けている.現代アメリカ最高の批評家がその構造を鋭く撃つ――. 市民が批判力を失えば,旧い世界の旧弊を糺すことなく,公…

▼"The Price of Time" Edward Chancellor

In the beginning was the loan, and the loan carried interest. For at least five millennia people have been borrowing and lending at interest. The practice wasn’t always popular—in the ancient world, usury was generally viewed as exploitati…

▼"Sport and Body Politics in Japan" Wolfram Manzenreiter

There is more to Japanese sport than sumo, karate and baseball. This study of social sport in Japan pursues a comprehensive approach towards sport as a distinctive cultural sphere at the intersection of body culture, political economy, and…

▼"Margins of Conflict" Antoine Buyse [ed.]

The European Convention on Human Rights was drafted in the wake of World War II. However, the dark shadows of that war have never fully receded from Europe. Armed conflicts have resurged time and again, from Northern Ireland to Cyprus and …

▼"Geopolitical Risks and Defense Spending" Rosey Press

Geopolitical risks refer to the threats and uncertainties that arise from political, economic, and social instability in different regions of the world. These risks can stem from a variety of sources, including territorial disputes, change…

▼『全証言 東芝クレーマー事件』前屋毅

「怖かった……」大企業・東芝に対して,抗議のホームページを開設.ついには副社長に謝罪させた男は,その後,悪質な「クレーマー」だと逆に攻撃されることとなった.彼のホームページのアクセス数は1000万件を超える.まさに渦中の人となった彼だが,そのと…

▼"Comparative Matters" Ran Hirschl

Comparative study has emerged as the new frontier of constitutional law scholarship as well as an important aspect of constitutional adjudication. Increasingly, jurists, scholars, and constitution drafters worldwide are accepting that 'we …