| ダメに生きるイーニドとレベッカは幼なじみで親友.高校を卒業したものの,進路も決めずに好きなことをして楽しんでいる.そんなある日,二人はモテないレコードマニアの中年男シーモアと出会う.ダサイけど独特な世界を持つシーモアにイーニドは興味を持ち,二人の間には奇妙な友情が芽生える.一方,レベッカは独立を目指してカフェで働き始め,イーニドとレベッカはお互いに距離を感じ始める…. |
ティーンエイジャーの内的世界は,矛盾と感情の渦に満ちている.その中には正義感と憤りが同居し,しばしば自己中心的な態度が顔を出す.彼らにとって現実は退屈で唾棄すべきものと映り,自分の感覚や視点がいずれ世界を変えると信じて疑わない.こうした現実感の欠如に見切りをつけ,自立に向けて新たな一歩を踏み出す者がいる一方で,現実逃避を続けて虚無的な日々を送る者もいる.
高校卒業直後のイーニドとレベッカもまた,そのようなティーンエイジャーの典型である.彼女たちは進学も就職もせず,ただぶらぶらと日々を過ごす.同居生活を始めた2人は,新聞の出会い広告欄に目をつけ,中年男シーモアを戯れに呼び出し,そのみじめな様子を観察して楽しむ.しかし,イーニドは次第にシーモアに惹かれ,彼との関わりを深めていく.一方で,カフェに就職したレベッカは,前向きに人生を考えようとしないイーニドとの間に温度差が生じ始める.
注目すべきは,イーニドとレベッカの態度の違いだ.レベッカは自分の感性と外界との接触点を見つけようと努力し,次のステップへと進もうとするが,イーニドは不平不満を漏らし続ける.興味深いのは,こうした不満を持つタイプの人間に限って,しぶとい生命力を持ち合わせていることだ.イーニドとレベッカのコーディネートが50種類にも及び,そのどれもが個性的であることは,彼女たちの内的世界の豊かさと混沌を象徴している.
映画のクライマックスでイーニドが老人と共に,決して来るはずのないバスに乗り込むシーンは,死のメタファーとしか言いようがない.この描写は,鋭すぎる感性を持つがゆえに現実の通過儀礼を超えられない者が,最終的には現実に敗北し,逃走する運命を示唆している.ティーンエイジャーの内的世界は,現実との折り合いをつけることが難しく,時にその鋭敏さが彼ら自身を破滅に追い込むことを,この作品は鋭く描き出している.
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原題: GHOST WORLD
監督: テリー・ツワイゴフ
111分/アメリカ/2001年
© 2001 United Artists Films Inc. and Granada Film Ltd.
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