▼"The Struggle for Equality" Deborah Bernstein

The Struggle for Equality: Urban Women Workers in Pre-State Israeli Society

 The object of this study is to clarify why and how it happened that women remained marginal in the processes of social change that took place during the development of Israeli society. Bernstein examines the role played by continuous unemployment, by the predominance of construction work, and by the dependence on the World Zionist Organization and the Mandate authorities――.

 スラエル社会の発展に伴う社会変革の過程で,なぜ女性が周縁に留まったのか,その背景や要因を検討する.著者は,継続的な失業の影響,建設業の支配的な役割,そしてシオニスト機構や委任統治当局への依存といった要素を中心に分析している.また,女性たちの個々および集団としての成果が,将来のさらなる成果を目指す道筋を形作った一方で,失敗がその後の努力を阻害したことも指摘している.特筆すべきは,女性の地位向上の失敗を,生物学的な必然性や社会運動が保守化に向かう不可避の流れではなく,女性同士の権力関係に起因すると結論付けているところである.

 変革に反対する勢力や無関心な者たちは多く,強大であった.この権力闘争は,仮に権力バランスがもう少し有利だったとしても,経済的条件の悪化のために実質的な変革は困難だっただろう.最終的に,革新の勢いは失われ,保守的な勢力が勝利を収めたのである.単にイスラエル社会の女性が周縁化されたことを描くだけでなく,どのようにその過程が進行し,なぜ彼女たちの抵抗が失敗に終わったのかを多角的に検討している.経済や社会の構造がどのように女性たちの地位に影響を与えたかという点では,女性たちの個々の成功が必ずしも集団の変革運動に結びつかなかった事実を掘り下げ,権力構造の中で彼女たちがどのようにして従属的な立場に追いやられたのかが明確にされている.

 イスラエルの建国前夜の政治的・社会的状況が,女性たちの地位向上の試みをどれほど困難にしたかという歴史的背景である.シオニズム運動が掲げるユートピア的な理想には男女平等が含まれていたにもかかわらず,現実の社会建設においては男性中心の労働力が必要とされ,女性たちはしばしば周縁的な役割を割り当てられた.著者が指摘するように,建設業が重要な役割を果たす経済構造の中で,女性が経済的に自立する道は狭められていた.この背景には,当時の労働市場でのジェンダー格差だけでなく,シオニスト機構や委任統治当局の政策も影響していた.

 さらに,イスラエルの初期建設期における女性たちの政治的闘争の側面である.当時の女性たちがいかにしてシオニズム運動内で影響力を持とうと試みたか,その戦略や失敗の要因が明らかにされている.女性運動のリーダーたちは,男性中心の労働組合に対抗し,独自の女性労働組合を設立しようとしたが,結局それが主要な社会運動に統合されず,孤立したままで終わったという具体的事例が挙げられる.変革を求めた女性たちは実在したものの,彼女たちは少数で弱体であった.これは,現代のフェミニスト運動との比較においても興味深いテーマといえるであろう.

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Title: THE STRUGGLE FOR EQUALITY - URBAN WOMEN WORKERS IN PRESTATE ISRAELI SOCIETY

Author: Deborah Bernstein

ISBN: 0275921395

© 1986 Praeger