Books(人文)

▼『マサダ』イガエル・ヤディン

今世紀最大の発掘の一つ.再び白日の下に全容を現わしたイエス時代の大遺跡,聖書のヘロデ王の宮殿,それに立てこもった熱心党員最後の抵抗と全員玉砕,驚嘆すべき大ローマ帝国の攻城施設群,ヨセフス『ユダヤ戦記』の記述の正確さ等々,当時の宮廷と庶民の…

▼『美しいアナベル・リイ』大江健三郎

かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった.それから30年,小説家の私は,その仲間と美しき国際派女優に再会.そして,ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを,再度の映画制作に託そうと決意するのだが.破天荒な目論見…

▼『赤穂浪士の実像』谷口眞子

日本人の心を魅了する『忠臣蔵』.討ち入り成功を前提に描かれた「勧善懲悪」の物語から赤穂事件を解き放つ,大石内蔵助,堀部安兵衛らの行動・思想をリアルタイムの感覚で捉え,等身大の赤穂浪士と事件の真相に迫る――. 江戸時代の写本,伝写記録で「演義」…

▼『ボルヘス怪奇譚集』ホルヘ・ルイス・ボルヘス,アドルフォ・ビオイ=カサレス

中国の妖怪物語.セイロンの人喰い鬼伝説.アラビアンナイト.そして,カフカやポーの掌篇.20世紀文学に屹立する「迷宮の作家」ボルヘスが,東西古今の膨大な書物を渉猟,その博識博捜のかぎりをつくして選びぬいた,世にも不思議な怪奇譚のかずかず.「物…

▼『春にして君を離れ』アガサ・クリスティー

優しい夫,よき子供に恵まれ,女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた.が,娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から,それまでの親子関係,夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え…

▼『知られざるリンカーン』デール・カーネギー

神格化されたリンカーンではなくて,身近な人間としてのリンカーンが,本書には脈々と力強く描かれているといってよい.それだけに,本書を読まれた方は,“人間としてのリンカーン”に,今まではもちえなかった親近感をいだかれることであろう――. 1980年2月…

▼『鬼龍院花子の生涯』宮尾登美子

大正四年,土佐の高知に侠客業の看板を掲げた鬼龍院政五郎は,飛行機や相撲の興行,また労働争議の調停などで男をうる.政五郎・花子・養女松恵を中心に鬼政一族の浮沈や女たちの葛藤,鬼政一家をめぐる男達の世界を描く.土佐の一侠客を通し,今はうすれゆ…

▼『ポーランドのボクサー』エドゥアルド・ハルフォン

69752.ポーランド生まれの祖父の左腕には,色褪せた緑の5桁の数字があった…アウシュヴィッツを生き延び,戦後グアテマラにたどり着いた祖父の物語の謎をめぐる表題作ほか,異色の連作12篇.ラテンアメリカ文学の新世代として国際的な注目を集めるグアテマラ…

▼『にんじん』ジュール・ルナール

「にんじん」――ルピック夫人は末の男の子をそう呼ぶ.髪の毛は赤く,顔はそばかすだらけだから.にんじんは,部屋の片隅にうずくまりながら,家族のために役立つ機会を待ちぶせしている.が,母親の口汚いののしりと邪険な態度が,そんな彼の気持ちを打ち砕…

▼『ピエールとリュース』ロマン・ロラン

第一次世界大戦下のパリ,ドイツ軍の空爆のなか,地下鉄で出会った二人.召集をうけていた良家の息子ピエールと,生活費を稼ぐための絵を画くリュースが,結ばれることは困難であると自覚しながらも想いを募らせる.『ジャン・クリストフ』『魅せられたる魂…

▼『トワイライトゾーン』ロバート・ブロック

トワイライトゾーンとは,次元を超えた別世界.ふとしたことから,この別世界をのぞき見た四人の運命は?1 ビル 2 ブルーム 3 ヘレン 4 ヴァランタイン――. アメリカの怪奇小説誌から出てきたロバート・ブロック(Robert Bloch)は,350以上の短長編を残して…

▼『母よ嘆くなかれ』パール・バック

ノーベル賞作家の愛と勇気の手記."いつまでも子どものままの"わが娘と歩んだ母親パール・バックが,知能の発育が困難な子どもへの社会の無理解と偏見に悲しみ苦しみながら,人間性の尊重を真摯に訴えた不朽の名作――. パール・バック(Pearl S. Buck)の豊…

▼『リー・ストラスバーグとアクターズ・スタジオの俳優たち』ロバート・H.ヘスマン 編

本書はマーロン・ブランド,ジェームズ・ディーン,マリリン・モンロー,ダスティン・ホフマン,アル・パッチーノなど多数のアメリカの名優を送り出したアクターズ・スタジオにおいて,その天才的指導者リー・ストラスバーグが,いかにして彼らを育てたかと…

▼『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ

パリよ,俺だよ……私のカメラのファインダーの中の数千の顔,顔,顔はだんだんぼやけていって,そのファインダーは私の涙で濡れ放題になった…….二十年間に数多くの戦火をくぐり,戦争の残虐と非道を憎みつづけ写しつづけた報道写真家が,第二次大戦の従軍を…

▼『シッダルタ』ヘルマン・ヘッセ

シッダルタは学問と修行を積み,聖賢になる道を順調に歩んでいた.だが,その心は一時として満たされることはなかった.やがて俗界にくだったシッダルタだったが….深いインド研究と詩的直観とが融合して生み出された"東洋の心"の結晶とも言うべき人生探求の…

▼『悼む人』天童荒太

不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため,全国を放浪する坂築静人.静人の行為に疑問を抱き,彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野.末期がんに冒された静人の母・巡子.そして,自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世.静人と彼を巡る人々が織りなす生…

▼『津山三十人殺し』筑波昭

その男は三十人を嬲り殺した.しかも一夜のうちに.昭和十三年春,岡山県内のある村を鮮血に染め「津山事件」.入念な取材と豊富な捜査資料をもとに再現される,戦慄の惨劇.不朽のノンフィクション――. 日中戦争勃発の年,岡山の山深い村で一夜にして30人を…

▼『波の暦』水上勉

実力派の人気女優,甲斐節子は,テレビ出演作品をきっかけに,その脚本家,香西尊彦と知り合う.とぎすまされた感性と寂しげな風貌に魅かれ,さらに彼の熱心な求愛もあって,恋愛,結婚へと急速に発展する.が,甘美な新婚生活も束の間,夫の言動に不審の影…

▼『かたみ歌』朱川湊人

不思議なことが起きる,東京の下町アカシア商店街.殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男.その正体とは……「紫陽花のころ」.古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が,時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など,昭和という時代が残し…

▼『カストラートの歴史』パトリック・バルビエ

天使か怪物か…柔らかな喉と驚異の肺活量が生み出す「奇跡の声」で,音楽史に妖しい閃光を放って消えた去勢歌手たちの短かくも鮮烈な歴史.多くは南イタリアの寒村に生まれ,8-10歳で危険な睾丸摘除手術を受け,厳しい修行ののち栄光の絶頂へと登りつめ,やが…

▼『アイドル、冴木洋子の生涯』松野大介

CMタレントとしてスタート,ヒット曲の連発,ドラマのヒロインへの大抜擢.しかし,すべてを手に入れた瞬間,彼女のもう一つのドラマが大きく動き始めた.CMスポンサーの社長との悪夢のような一夜,ストーカーのファン,俳優やJリーガーとの恋と破局.マスコ…

▼『アテナイ人の国制』アリストテレス

一九世紀末,エジプト出土のパピルス写本としてその全容が明らかになるや,たちまち古代ギリシア研究者の間で珍重されるに至った根本史料.政治学の祖ともいうべきアリストテレス(前三八四―三二二)の手によって前七―五世紀のアテナイ政体の変遷,前四世紀…

▼『オリンピア祭』堀口正弘

古代ギリシアでは,神を祀り音楽と肉体を奉納する祭礼が各地で行われていた.取り分けオリンピア地方のゼウス神の祭典は規模が大きく,多くの人々を集めた.ゼウスに奉納した肉体競技がやがて古代オリンピックと呼ばれるようになった.その興亡の詳細とは――.…

▼『絹と武士』ハル・松方・ライシャワー

侯爵松方正義と生糸貿易のパイオニア新井領一郎.二人の祖父の生涯を跡づけながら,日米交流のルーツを考察する興味深い家系史――. アメリカン・スクールとプリンシピア大学で教育を受けた松方ハルは,エドウィン・O・ライシャワー(Edwin Oldfather Reischa…

▼『纏足』馮驥才

舞台は清朝末期の天津.女性の足を小さくするために,幼いころから足の指を足底に折り曲げて,布できつく縛る風習・纏足をめぐる千奇百怪の物語が繰り広げられる.貧しい家の美少女が類まれな小足ゆえに,天津の名家に嫁ぐが,彼女を待っていたのは数奇な運…

▼『不思議な世界』山田太一 編

いま見えているこの世界だけが,すべてなのだろうか.ただつかのまを生きている人間が,現実を承知したつもりで「超自然」を否定することができるのだろうか.オカルト,UFO,臨死体験,ドラッグ,そして日常の中にひそむ人の心の不思議.この世の階段をひと…

▼『チャップリン自伝』チャールズ・チャップリン

突然声の出なくなった母の代役として五歳で初舞台を踏み,母の発狂,父の死,貧民院や孤児院を転々とし,ついに地方まわりの一座に拾われて役にありつく……あの滑稽な姿,諷刺と哀愁に満ちたストーリーで,全世界を笑いと涙の渦に巻き込んだ喜劇王チャップリ…

▼『復讐する海』ナサニエル・フィルブリック

捕鯨船エセックス号は怒ったマッコウクジラに沈没させられた.現実のエセックス号の悲劇は,この『白鯨』のクライマックスの後から始まる.捕鯨船から脱出したのは20人,そのうち,生き残ったのはわずかに8人だった.本書は,事件からおよそ180年後,犠牲者…

▼『キンダートランスポートの少女』ヴェラ・ギッシング

私はユダヤ人の血を受けチェコ人として生まれ自らの選択でイギリス人になった人間なのです.ナチスの過酷な迫害にさらされたユダヤ人の子供たちを疎開させるキンダートランスポート(子供の輸送)でチェコからイギリスに渡ったユダヤ人少女ヴェラ…10歳で両親と…

▼『地獄の季節』アルチュール・ランボー

16歳にして第一級の詩をうみだし,数年のうちに他の文学者の一生にも比すべき文学的燃焼をなしとげて彗星のごとく消え去った詩人ランボオ(1854‐91).ヴェルレーヌが「非凡な心理的自伝」と評した散文詩『地獄の季節』は彼が文学にたたきつけた絶縁状であり,…